実体験者による少年院の総合情報サイト。少年院入院経験のある管理人の実体験も交え、基本的情報のほか教官や院生同士の人間関係、少年院生活を送る上での裏事情・実態なども徹底解説。少年院の全貌が暴かれます。

少年院とは

少年院とは、家庭裁判所による少年審判の結果、少年院送致を言い渡された少年(原則12歳以上20歳未満の男子と女子)を収容するための矯正施設・更生施設です。
※審判とは大人で言う「裁判」のことです。

また、少年院収容受刑者も収容することができます。
少年審判の結果、逆送(検察官送致)を言い渡されることで管轄が家庭裁判所から検察・地方裁判所へと移り、大人と同等の扱いを受けて裁判にかけられます。

少年院収容受刑者とは、その裁判において懲役や禁固などの実刑判決を言い渡された16歳に満たない者のうち、少年院での矯正教育が有効と認められた少年のことを指します。

女子を収容する少年院は、正式名称ではありませんが女子少年院・女少年院(じょしょうねんいん)と呼ばれることもあります。

前科

少年院は、警察や裁判所に前歴として残るだけで、前科は公には出ません。
法務省が管轄する施設で、担当するスタッフは法務教官となります。(最高責任者は法務大臣)
刑務所も法務省が管轄していますが、刑務所の場合はスタッフが刑務官となります。

刑務所と少年院とは似ているようで、決定的な違いがあります。

刑務所は自らが犯した過ちを償う、罪を償う施設となりますが、少年院は
”少年(または少女)を更生させるための施設”
となります。

決して刑罰ではなく、非行を犯すようになった少年を社会に適合させるため・健全な社会復帰をさせるための矯正教育を受けさせる施設なのです。

テレビなどで見るような少年院のイメージと実際の施設像・施設生活は、大きく異なります。
また、各院により異なる部分も沢山あります。

少年院の種類

大きく分けて、以下の4つの種類があります。

初等少年院 心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上16歳未満の者を収容する。
義務教育が終わっていない少年(中学生)が収容される施設。
中等少年院 心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者を収容する。
収容される少年の罪名としては、窃盗・傷害・暴走・ひき逃げ・恐喝・強盗・強姦などが多い。
特別少年院 心身に著しい故障はないが、犯罪傾向の進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容する。
ただし、16歳未満の少年院収容受刑者も収容可能。
収容される少年の罪名としては、強盗傷害・強盗致傷・強姦致傷・傷害致死・殺人未遂などが多い。
また、過去に初等少年院や中等少年院に入院したことのある少年や、暴力団に所属している少年ヤクザなどは収容されやすい。
医療少年院 心身に著しい故障のある、おおむね12歳以上26歳未満の者を収容。
精神的・身体的に疾患のある少年に治療を施しながら、社会生活に適応させるための施設。

少年院の収容期間(処遇課程)

主な収容期間(処遇課程と言う)として、特修短期処遇・一般短期処遇・長期処遇があります。
それぞれの主な収容期間は以下の通りです。

特修短期処遇 4ヶ月以内
一般短期処遇 6ヶ月以内程度
長期処遇 原則2年以内(一般的な期間は11ヶ月~12ヶ月程度)
※1年を超える場合は、比較的長期や相当長期などの勧告を受ける。
※相当長期には、少年の非行の進み具合により2年を超える場合もある。

少年院の種類や分類処遇制度に関しての詳細はこちら↓をご覧ください。
分類処遇制度

出院までの大まかな流れ

少年院は階級制になっており、成績により進級していくシステムです。

進級できなければ、もちろん出院もできません。入院するとまずは2級下から始まります。
一定期間ごとに進級式が行われ、その際に無事進級できれば次のステップに進むことができます。

以下は私が入院した中等少年院の一例です。

>>入院
 2級下→2ヶ月(予科)※入院時の考査期間(10日間の単独寮生活)含む
 2級上→3ヶ月(中間期)
 1級下→3ヶ月(中間期)
 1級上→3ヶ月(出院準備期)
出院>>

となります。

入院後は考査生といって、単独寮での生活(考査期間)を送ります。

考査期間が終わると、集団寮での生活となり、行動訓練などを行うようになります。
中間期からは実科(職業訓練)に編入です。※中学生は原則、教科となります。

合計の収容期間は合計で約11ヶ月(これを設定期間という)でした。
この設定期間は入院当初から決まっており、期間は各少年院や各個人により様々です。
※4ヶ月、6ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月など。

ただ、設定期間として決まってはいるものの、規律違反を犯したり生活態度が悪いと、もちろんそのぶん期間も延びることになります。

少年院生活の概要

以下で書く内容は、あくまでも中等長期(設定期間11ヶ月の場合)のある少年院での一例になります。各少年院により異なる部分もありますので、その点だけご了承下さい。

上にも記載しましたが、まず少年院に入院すると2級下から始まり、その後2級上→1級下→1級上と進級していくことで出院を目指す、階級制のシステムになっています。

入院してすぐは考査期間といって、10日間ほど単独寮で生活します。(この期間中の少年院生を考査生という)

この10日間では、自分が少年院に入院することとなった原因・今後の少年院生活における更生に向けての決意・被害者への反省・自分自身の問題性など、様々なことを考えます。基本的に、10日間ぶっ続けで作文となります。

この考査期間中には、内観という特殊なプログラムも含まれています。
内省、内観、作文、日記記入、そのような日々が10日間続きます。

この考査期間が終わると、集団寮へ編入し、予科生(考査期間含め約2ヶ月)となります。

予科生

予科の間は、とにかく行動訓練ばかりです。
軍隊の行動訓練とほぼ同等の内容だと思います。

「イチ・ニー。イチ・ニー。」の号令のもと、両手を前後に大きく振り、足を上までしっかりあげて行進します。

止まる時は「ぜんたーい、止まれ!」で、ザッザッザッ、ピタ!と、全員が息を合わせて止まります。

その他にも、「きをつけ」「やすめ」「前ならえ」「右へならえ」「点呼」「礼」などの少年院での基本動作を徹底的に叩き込まれます。

また、少年院生活全般のオリエンテーションも組み込まれ、様々なルールや生活様式を習得します。

そして予科生が終われば、中間期(3ヶ月+3ヶ月)となります。

中間期

中間期では、中学生であれば原則として教科、16歳以上であれば基本的に職業訓練が開始されます。

教科は小・中学校で必要とされる勉学、職業訓練では溶接や土木建築、板金、電気工事、パソコン技能、木工など少年院によって実に様々な訓練内容があります。

もちろん、矯正教育としての生活指導やロールプレイング、集会、体育、読書などの多くの日課があります。

夜には1時間のTV視聴もありました。
中間期の6ヶ月は、そのような生活となります。

そして少年院での生活の総仕上げとなる出院準備期(3ヶ月)に入ると、中間期生だけの集団寮から出院準備生だけの集団寮へと転寮します。

出院準備生

出院準備期からは、髪を伸ばし始めることができたり、院外活動なども行われます。
また出院が近いこともあり、自立した生活態度が求められます。

普段教官が行っているような集団行動(イチ・ニーや全体止まれなど様々ある)の指揮を取ったり、色々なことを自分自身で考えて行動しなければなりません。

また、集会・ロールプレイングの日課などでも、中間期よりも1つ上のレベルを求められます。

生活態度が良い院生には、殊遇外出と行って、担当の教官と一緒に1日だけ社会に外出することができたりもします。

例としては、映画を見に行ったり、美術館を見に行ったりなどです。
中には温泉に行ったという話も聞いたことがあります。

外出中の昼食もある程度は選べることができ、大体の少年がマックを選ぶみたいです。

上記のように、出院準備生は厳しい面では厳しく、甘やかすところは甘やかされます。
また、社会復帰をスムーズに実行できるよう様々なプログラムが組み込まれるようになります。

少年院での成績と目標について

少年院では進級していかなければ、出院ができません。そして、その進級を決めるための材料が成績です。以下に、私が入院した中等少年院の一例を記載します。

少年院に入院すると、各それぞれに個人目標が与えられます。
入院から出院までに達成すべき総合目標が3つ
また、2級下・2級上・1級下・1級上の各級で3つずつです。(これを段階別目標という)

例をあげると、2級下の目標は「院生活の基本を理解し、規則正しい生活を身につける」であったり、1級上であれば「健全な社会復帰に向けて決意を固め、行動に移す」など。
記憶が曖昧なので漠然とした内容になってしまいましたが、大体そのような内容になります。

成績をつける上で、個人目標のうちの段階別目標が主な判断材料となります。
また、個人目標以外に共通目標といって、院生みんなが取り組むべき目標が5つあります。
内容は、生活態度や実科(教科や職業訓練)への取り組む態度、院内での学習内容の努力と結果などです。
少年院の成績と進級

この、個人別段階別目標3つと共通目標5つの合計8つの目標への取り組み・努力と結果で、毎月成績が出されます。
成績の内容は以下のようになります。

総合成績
A・・・aが4つ以上、c以下がない。
B・・・bが4つ以上、d以下がない。
C・・・cが4つ以上、eがない。
D・・・dが4つ以上。
E・・・eが4つ以上。
8つの目標それぞれに対する成績(※鮮明に覚えていないため、大体の記憶を記載しています。)
a・・・目標に向けての顕著な努力が見られ、改善・達成の結果が出ている。
b・・・目標に向けての努力が見られ、目標を達成している。
c・・・目標をおおむね達成している。
d・・・目標の達成に努力が足りない。
e・・・目標を達成していない。

上記のように、8つの目標それぞれの達成度合いをa~eで評価し、その総合的な評価をA~Eで表します。

少年院での進級について

進級の要因としては、総合成績C以上が絶対条件となります。

正直、誰がどう見ても”半端なく頑張っている”という院生でも、Aをもらえる者は存在しません。
基本はCになります。めちゃくちゃ頑張ってB。
教官ですら、Aを見たことは一度もないと言っていました。
成績Aは事実上不可能

進級の流れとしては、予科(赤バッジ、最初の2ヶ月)であれば入院後約2ヶ月で進級式があり、成績が良ければ進級→中間期(黄色バッジ)となります。

中間期(黄色バッジ3ヶ月+青バッジ3ヶ月)に進級すると、進級後3ヶ月で進級式があり、成績が良ければ進級→中間期(青バッジ)となります。
青バッジに進級すればまた3ヶ月で進級式があり、進級→出院準備期(緑バッジ)となります。

当然、この進級式の際に進級できなければ、そのぶん出院が延びてしまいます。

出院準備期になると出院準備寮といって、緑バッジの院生のみの寮へ転寮となり、出院に向けての生活を送ります。
※ここから髪を伸ばし始めることができました。また、院外での活動なども行います。

出院準備期(緑バッジ)で成績が良い状態が続いていると、最後の関門「委員面接」を受けることになります。
※地方更生保護委員会に少年院長が仮退院の申請を出し、更生保護委員会の委員による面接を受けます。

面接の結果、委員によって出院の日が決められます。
そして初めて、出院(仮退院)となります。

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